中小企業省力化投資補助金のご紹介
IoTやロボットなどの付加価値額向上や生産性向上に効果的な汎用製品を「製品カタログ」から選択・導入することで、中小企業等の付加価値や生産性の向上、さらには賃上げにつなげることを目的とした補助金です。中小企業等事業者は、製品カタログに掲載されている製品を取り扱う販売事業者と共同で交付申請を行います。
◆補助対象者:人手不足の状態にある中小企業等
◆補助率等:カタログに掲載された製品が補助対象となります。また、補助上限額は従業員数ごとに異なります。
補助対象 | 補助上限額 | 補助率 | |
補助対象としてカタログに登録された製品等 | 従業員数5名以下 | 200万円(300万円) | 1/2
以下 |
従業員数6〜20名 | 500万円(750万円) | ||
従業員数21名以上 | 1,000万円(1,500万円) |
◆対象となる業種
○ 飲食サービス業 ○ 卸売業 ○ 小売業 ○ 宿泊業 ○ 製造業
○ 倉庫業 ○ 印刷・同関連業 ○ 建設業 ○ 専門・技術サービス業
○ 廃棄物処理業
◆補助対象製品の製品カテゴリ
○清掃ロボット ○配膳ロボット ○自動倉庫 ○検品・仕分システム
○無人搬送車(AGV・AMR) ○スチームコンベクションオーブン ○券売機
○自動チェックイン機 ○自動精算機 ○タブレット型給油許可システム
○オートラベラー ○飲料補充ロボット ○デジタル紙面色校正装置
○測量機 ○丁合機 ○印刷用紙高積装置 ○インキ自動計量装置
○段ボール製箱機 ○近赤外線センサ式プラスチック材質選別機
○デジタル加飾機 ○印刷紙面検査装置 ○物用自動バリ取り装置
※登録されている業種・補助対象製品は定期的に追加されますのでホームページをご覧ください。
◆申請には、gBizIDが必要です。取得には日数が必要ですのでお早めに手続きを。
◆中小企業省力化投資補助金ホームページ:https://shoryokuka.smrj.go.jp/
◆対象となる方
「京都食ビジネスプラットフォーム」に加盟しており、京都府内に主たる事務所を有し、食関連事業を営む中小企業者等
◆対象となる取組
「京もの食品」の継続的な売上確保や需要拡大のために、補助対象者が付加価値の高い「京もの食品」の新商品を開発する取組のうち、以下の要件を満たすもの
【要件】以下の2つの項目を含めること
〇SDGsなど新たな価値を「商品開発」・「販売手法」・「原材料」のいずれかの段階で付加した取組であること。
〇食に関する先進的な加工技術等を活用した取組であること。
【取組例】※商品を販売する際に、京都産の食材を使用している事が分かる様にする必要あり
急速冷凍技術を活用し、食感や美味しさをほとんど損なわない加工品を開発
粉末化技術を活用し、栄養を無駄なく摂取できる加工品を開発
◆補助率・補助上限
補助率:3分の2以内 補助上限:50万円
※補助対象経費のうち、委託費・設備整備費以外の経費が15万円(税抜)以上必要です
※申請状況によって、補助額が上限に満たないことや事業採択されないことがあります
◆募集期間:R6/9/13日(金)~R6/10/4(金)17:00(※申請窓口必着)
事業実施期間:交付決定後~R7/2/10(月)
◆ホームページ
https://www.pref.kyoto.jp/brand/news/premium-nakasyoku.html
◆申請・問い合わせ先(受付時間:平日の午前9時~午後5時)
京都府 農林水産部 流通・ブランド戦略課
電 話:075-414-4954
Eメール:ryutsu-brand@pref.kyoto.lg.jp
創業を決意されたきっかけを詳しく教えていただけますか?
私たちはもともと東京に住んでいて、2010年の末ごろに結婚したのですが、その頃は創業や起業は考えていませんでした。会社勤めの当時、仕事が多忙で家族として過ごす時間が十分にとれず、東京での暮らしにお互いどことなく違和感のようなものを抱えながら過ごしていました。
そんななか2011年3月に東日本大震災を経験し、「自分たちにとってより良い暮らし」というものについて改めて考えるようになりました。
二人で話し合い出した結論は、東京を離れ「暮らしやすい街」を探してみよう、同時に移住先で「何をしたいのか」を考えてみようというものでした。
大山崎町の印象はどのようなものでしたか。
移住先の候補に、という思いで2012年の夏にJR山崎駅のホームに降り、改めて雰囲気の良さと情緒豊かな町の風景を魅力的に感じました。
自然を近くに感じることはとても魅力的な要素ですが、では実際に山の中や郊外で田舎暮らしをしたかったのかというとそういうことでもありません。
自然が近くのどかではあるけれど、田舎過ぎない。阪急とJRの駅が隣接し、京都と大阪の中間という利便の良さもある。自分たちの思い描く理想的な「暮らしやすい街」のイメージが重なり、大山崎町への移住を決めました。
アサヒビール大山崎山荘美術館へは何度か電車で行ったことがあるのですが、隣接する都市から天王山に近づくにつれ、自然と空を見渡せるように変わっていく景色が印象的でしたね。あまり大きな建物がなく、自然を近くに感じることのできる眺めを素敵だなと常々思っていました。
移住後、大山崎コーヒーロースターズを創業された当初の営業展開について聞かせてください。
実店舗としていい物件がすぐに見つからず、まずは焙煎所兼事務所スペースを間借りしました。焙煎したコーヒー豆のネット販売を2013年の6月より開始し、同時期にJR山崎駅構内で商工会が運営する「おおやまざき なび」での出店したことをきっかけに、町内のイベント出店など屋外でも営業するようになりました。
実店舗をオープンしたのはそれからおよそ1年半後の、2014年11月です。
山手にあるハイツの一室でオープンし、その後現在の店舗に移転しました。
JR山崎駅構内「おおやまざき なび」での出店をされた際、町のひとたちの反応や手応えなどはいかがでしたか?
初回は二日間連続での出店でした。「駅の空きスペースの有効活用の事例」ということで商工会から京都新聞に紹介してもらい、一日目に取材が入ったんですね。
翌日、記事に反応したご近所の方が実際に立ち寄って、声をかけてくださいました。「大山崎町に新しく何かが出来ること」に興味を持つ住民の方とはじめてゆっくりとお話させていただくことができましたね。
私たちは突然引っ越してきて突然お店を始めているので、それまで大山崎町に知り合いはいません。あの場所で大山崎町の住民の方との出会いがあったことはとても印象深く、ほとんどの方と今でも親交があります。
商工会はどんなところでお役に立てましたか?
自分たちとしては、イベント出店という発想がそもそもなかったんですよ。したくない、ということではなくよく知らなかったんです。会社勤めからネットショップをはじめた当時、たとえばマルシェやマーケットというものは、今では珍しくありませんが、住んでいた東京ではあまり盛んではなくて。商工会から駅前の出店への提案があり、お店を持たなくても外に出る方法があることを知りました。そして仲良くなった地元の方々から「今度やるマルシェに出てみたら?」と教えて頂き、引き続きイベント出店に積極的に出てみようという気持ちになりました。外に目を向けることの大切さに気づかされたという意味では、商工会の存在は大きいですね。
商工会から定期的にイベントの案内もきますが、自分たちで地域にどんなイベントがあるのかをしっかり把握して参加していくことも大切ですね。
そうしているうちに町の方との交流もどんどん増え、情報交換したり、世間話したり、無理なく町に馴染んでいくことが出来たのだと思います。
他のお店の方と交流出来ることも商工会の魅力だと思います。
実際にお店に行ったり、訪ねて下さったり、また別の出店にもお誘い頂いたり。
同じ事業者としても、商工会をきっかけにプライベートでもよくしていただいています。
大山崎町で実店舗を展開された時の心境や、苦労したことを教えて下さい。
移住当初はとにかく実店舗が欲しくて、そこを目指していたのですが、場所がないのでネットショップを立ち上げました。加えて定期的なイベント出店で営業が成立するようになると、そのうちに「これでいいかな?」という気もしてくるわけです。お店を出すにはお金もかかりますし、時間的な制約がそれほどないネットショップは自由度が高いからです。ただ、その1年半の間に町の方から「大山崎でお店を出してよ」と言ってもらえるようにもなり、地元の方に期待されることに意義を感じ、お店を出すことを決心しました。
はじめてお店を持ち、この場所へ移転してくるまでの3年間というのはとても充実した時間でした。お金的に大変な時期というのは何度もありましたけれど、それ以外の面では自分のお店をもつ喜びや楽しさが大きかったですね。
それまで出店先でお客さんから「普段はどこでコーヒー豆を買えるんですか?」と聞かれても、「お店はないんです。ネットショップからお願いします」としか答えられなかったのが、きちんと案内出来るようになりますよね。ショップカードに住所を記載したり、営業日程を伝えられる。雑誌などの媒体にお店として載りやすくなり、紹介されるようになると、自分たちのやっていることを実体として認識してもらえるようになり、ちゃんとしたお店があることでより安心して見てもらえることに気づきました。ネットの情報だけでうまく伝えきれない、どういう人間がどんなお店をやっているのか、その世界観をより具体的に表現できるようになったのだと思います。選んだ建物にしても、内装にしても、思いや好みが伝わるじゃないですか。私達が目指したのは期待や興味を持って来て下さるお客さんを迎え入れて、「実際に行ってみてよかった」と思ってもらえる、そんな充実した時間を過ごしていただくための空間です。
お客さんと一緒に時間を過ごすことで、面と向かっての親密なコミュニケーションや、ひとりひとりの好みに合った商品のご提案など、自然と距離感を近く感じられるようになりましたし、それまでのイベント出店だけでは満足に出来なかったことを楽しみながら実践していく3年間でしたね。実店舗オープン当時からのお客さんが、今も定期的にお店に来て下さることが何より嬉しくて、自信にもつながっています。
苦労したことといえばやはり物件探しです。お店を持ちたいけれど物件がわからなくて。不動産屋さんでもいい場所が見つからず、テナント物件というのはネットで調べても中々出てこないですし、商工会に入会したのもそういった情報をいちはやく知りたいと思ったからです。それでも簡単にはいきませんでした。実際に住むことによって見えてくる町のこと、生活してみないとわからない物件の情報を知ることができるようになり、時間をかけてようやく見つけることができました。
大山崎町商工会ではサービス業部会に所属されています。部会の活動はいかがですか?
部会活動としては新年会、総会、研修などに参加しています。部会としてイベントに出店する際は、どうしてもバッティングしてしまうこともあるので参加できないこともあるのですが。空気感といいますか、雰囲気が好きです。
部会はいつも和気あいあいとしていて、参加されている方の年代も幅広く、町の色々なことを教えて貰っています。意見を出しあったりの議論の場ではありますけど、どちらかというとみんなに会えるのを楽しみに行っているという感覚に近いです(笑)自分たちのように外から来た人間に対してもオープンであたたかくて、日頃から気にかけてもらったりして本当にありがたいですね。
小規模事業者持続化補助金制度を過去に利用されていますが、商工会からのサポートは適切でしたか?
商工会にはいつも親切に対応していただいていますね。こちらの要望についての計画性や具体性などを丁寧に分析してもらい、申請書の記載に際して必要な情報を洗い出すお手伝いをしていただいています。
例えば、この新しい店舗では現在ワークショップを開催しているのですが、それに際し必要な設備を揃えるために、補助金制度を利用する手助けをしていただきました。
大山崎町は他の地域に比べて事業所の数が少ないと聞いています。商工会職員の方が一つ一つの事業所にかけられる時間を多くとれるということも、これからこの町で創業するメリットと言えるのではないでしょうか。
中村さんが思う、大山崎町が今後こんな町になればいいなという点が何かあれば教えてください。
町の良さって何だろうと考えると、それは住んでいる人の良さのことだと思うんですよね。だから今までと変わらず町の人と他愛もなく過ごせていければいいなあと思います。ご近所さんも優しい人が多くて日頃から声をかけてくれたり、駅に向かう途中で誰か知り合いに会えたりするようなコンパクトな町です。色々な出会いは今後も増えると思いますし、お店だけじゃなくて日々の大山崎町での何気ないコミュニケーションというのがすごく楽しくておもしろいから、それがずっと充実していけばいいなと考えています。
大阪北部地震(2018年)があった際、幸い建物に大きな被害がなく通常通りの営業をしたのですが、そんな状況でもいつもの常連さんが集まってくれました。はじめは皆少しナーバスな気持ちで話をしていたのですが、次第といつもと変わらぬ日常的な時間を過ごせていました。もし大山崎町でこのお店が地域の方の憩いの場のひとつになれているのだとしたら、こんなに嬉しいことはないです。ここはコーヒー豆のお店ですから、コーヒー好きのお客さんが集まります。たとえばそれがお花屋さんだったり、本屋さんだったり、もっと憩いの場が増えれば、空いた土地や建物の有効活用にもなります。面白い物件を見つけることが出来るかどうかは巡り合わせですし、時間がかかることもあると思います。「おおやまざき なび」のような商工会の取組みには今後も期待していますし、今はなにかと便利な時代ですから、今後町の方と町外の方にとって有益な情報をもっと共有できるようになって、気軽に人が集まることのできるお店が増えていくといいですね。私たちも楽しみにしています。
インタビュー/2018年8月9日/大山崎COFFEE ROASTERSにて